抄録
本論文ではカリフォルニア州のジェネラルプランと日本の市町村マスタープランにおける防災計画の内容について分析を行い、カリフォルニア州では、1)ジェネラルプランの中に防災に関わる計画を持つ事が義務づけられていること、2)目的手段関係が明確になった「戦略計画」の手法に基づく計画となっている事、3)被害想定結果を踏まえた計画となっている事、日本の計画では1)多くの計画で全体計画の<目標>として防災に関わる規定を持っている事、2)目的手段関係が明確でなく実効性を持つ計画となっていない事、3)具体的な被害に基づく計画となっていない事を明らかにした。しかし、「持続的発展可能な防災」という概念に基づく防災計画とマスタープランの融合は未だ途についたばかりである。今回とりあげた日本の自治体は今世紀前半にほぼ確実に巨大地震に見舞われる。将来の開発計画を策定する際に、こういったリスクを考慮にいれる事は不可欠である。