抄録
日本のニュータウンでは、ニュータウン建設当初の住環境を保全・育成するために、ニュータウン開発者、地元行政、住民などによって、建築協定や地区計画などの住環境ルールが導入されてきた。今後、ニュータウンが維持・管理段階を経て成熟段階へと移行するに伴い、住宅の更新や人口の高齢化などに関連して、高齢者向けなどの多様な住宅の確保や若年世代にも魅力ある街の形成などの多様な課題が生じると考えられるが、ニュータウン建設当初の住環境を保全することを基調とする従来の住環境ルールではこれらの課題の解決は困難である。このため、地域の実情やニーズに最も詳しい住民が主体となり、行政の支援のもと、事業者と協議しながら、ニュータウンの成熟段階の多様な課題の解決に資する新しい住環境ルールをつくっていく必要がある。