都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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法線走査法による建築隣接空間の定量化
空地の直和分解モデルとその実装
市古 太郎
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ジャーナル オープンアクセス

2004 年 39.3 巻 p. 679-684

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抄録

建物と建物の間には建物が存在しない,すきまとなる空地が形成され,この空地は日照や延焼危険性に密接に関係する要素として定量化が試みられてきた.しかし隣棟間隔だけをとっても,いまだツールセットとして十分に開発されていない.そこで本研究では,先行研究を「密度」と「配置」という視点からレビューした上で,.空地を隣接距離と隣接関係から有効空地と狭小空地に直和分解するモデルを示し,.ベクター型建物データを用いて狭小空地をリスト化する方法を示し,.隣接距離に閾値を設定したときの狭小空地の変化を GIS上で図化し,隣接空地分析の意義と課題を考察する.本研究によって実装化したツールは,ベクター型土地利用・建物データを元に,道路中心線で形成された領域(街区)に対して,.建物と建物に挟まれた狭小空地 Snc,.建物と街区境界に挟まれた狭小空地 Snr,をポリゴンデータとしてリスト化し,カルトグラムを作成する.この実装化から,従来課題とされてきた「建物間の狭小なすきまと相対的にみてまとまった空地を区分する方法」について,空地規模と隣接関係という点から定量化方法に筋道がほぼつけられた.

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© 2004 公益社団法人 日本都市計画学会
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