抄録
人口推計は,地方自治体が計画を策定するにあたり最も重要な事項の一つである.しかしながら,計画の決定は人口予測に十分な予測精度が得られた上で行われるとは限らず,不確実性を伴ったまま,意思決定を迫られることも考えられる.そこで,本研究では,さいたま市におけるケーススタディを通して,需要量の予測精度と単一施設配置の関係を議論する.需要点の需要量を確率変数とすることで,施設配置問題に需要量の不確実性または予測精度を明示的に導入する.その上でまず, Weber点座標の確率密度分布を描く.次に,リグレットの概念を含むミニ・マックス型の決定基準による最適施設配置点を求め,それらが需要量の予測精度によって異なることを示す.