抄録
大都市圏における交通・輸送ネットワークは,都心と郊外の各地を結ぶ多数の放射路と,都心の通過交通を緩和したり郊外間を連結したりする複数の環状路で構成されている.しかし,これらの放射路・環状路の適正な配置や整備効果を数理的に解明した研究はあまり見られない.そこで本研究では,放射環状型交通ネットワークを有する円盤都市モデルを用いて平均距離を導出し,放射路・環状路の本数や長さのパターンやそれらの速度が地域間移動に与える影響を数理的に明らかにした.結果として,放射路本数も有限の場合の平均距離を導出し,放射路と環状路の最適パターンを求めると,放射路と環状路のバランスの取れた整備が必要であることが示された.また,バランスの取れた状態の放射環状型交通ネットワークを円盤都市内に設置すると仮定した時,目標とする鉄道分担率を達成するために必要なネットワーク整備量が明らかとなった.