都市計画論文集
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地籍調査の実施に関する市区町村担当職員の問題意識
大場 亨
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2005 年 40.3 巻 p. 451-456

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抄録
地籍調査により一筆毎の土地の所有者等を調査し、境界の測量と面積の測定を行っておくことが、公共事業や災害復興を円滑に進める上で有益であると考えられている。しかし全国の地籍調査の進捗率は約 46%に止まる。その問題を明らかにすることを本稿の目的とする。地籍調査の実施主体として土地所有者と直に接して土地の境界を確認している市区町村の担当者を対象に、無記名式アンケート調査を実施した。因子分析の結果から構造方程式モデルを構築した。区域区分毎の平均・共分散構造分析により、市街化調整区域と比べて市街化区域において頻繁な土地の取引やマンションの存在が地籍調査遂行上の問題となっていることを確認した。しかし過去の耕地整理事業や土地区画整理事業等において創設された境界を確認するには、現在の所有者が頻繁に移転することなどよりも、それを確認するための技術や体制の方がより重要な問題であると考えられた。都市部であるほど少ない位置誤差で境界を測量しなければならないこと、その多くの部分を市区町村職員が直営で行わなければならないことが地籍調査遂行上の大きな問題であると思われる。
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© 2005 公益社団法人 日本都市計画学会
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