抄録
本研究では、市街地の景観や環境を構成する最も基本的な要素について暫定的な基準を緊急避難的に設定し、著しく問題のある開発を予防しつつ、より詳細な地区の計画・基準を逐次検討していくといった対応が必要との観点から様々な手法を整理し、暫定基準策定ツールとして絶対高さ型高度地区の活用が有効であることを指摘した。そして平成 16年度用途地域見直しで当該地区を導入した東京都下自治体 7区 4市の指定状況から、当該制度の活用可能性を検討した。 MP等で市街地目標が明示されている自治体では、絶対高さ型高度地区を目標実現の第一段階として広域的に活用していた。一方、これまでのまちづくりの中で、市街地整備の目標が明確になりつつあるが、地区計画策定ほどは合意が高まっていない、または制限内容が具体化されていないといった理由で地区基準が検討途上にあった地区では、地域合意を具体化する初めの一歩として高度地区を活用しており、暫定基準としての絶対高さ型高度地区指定が有効であることを示している。また行政からの地区指定の提案がきっかけとなって、地元からより厳しい基準策定が要望された地区もあり、地区基準策定を誘発する役割も期待される。