都市計画論文集
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公立劇場による地域活性化の可能性に関する一考察
石川県能登演劇堂の経済波及効果の検討から
垣内 恵美子岩本 博幸林 岳
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ジャーナル オープンアクセス

2005 年 40.3 巻 p. 907-912

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抄録

石川県中島町に1995年に開場した能登演劇堂(以下「演劇堂」という。)は、仲代達矢氏率いる無名塾との連携によって、演劇に特化して活動を展開してきた。行政の支援もあって、演劇堂はこれまで事業経費についてはほぼ収支均衡か若干の黒字と健闘している。この演劇堂を事例として取り上げ2004年10月に行われた第3回ロングラン公演の観客調査を行い、観客の属性を確認するとともに、その消費による経済波及効果を推計した。結果、全国からやってくる観客の中核は、比較的、所得、年代の高い女性層で、芸術文化の鑑賞経験がきわめて高い。特に県外客は能登周辺で宿泊、滞在する可能性が高く、ロングラン公演中の県内外からの観客だけで、石川県内において、観劇代、宿泊、飲食、土産、交通費など、総額で少なくとも約2億5千万円程度の消費を行ったと推定される。これによる1次効果の生産誘発額は、約3億1千万円、2次効果の生産誘発額は約5千万円、合計で約3億5千万円となり、誘発係数は1.43となった。

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© 2005 公益社団法人 日本都市計画学会
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