2006 年 41.3 巻 p. 139-144
大都市の中小鉄道駅周辺の道路では,歩道に歩行者と自転車が混在し,今後の一層の高齢化社会を考えるとき,歩行者の安全確保が深刻な課題になる可能性は高い.しかし,大都市部には自転車専用道を新たに整備する土地の余裕がなく,自転車を安易に車道で走行させることは自転車の安全確保の点から今後も困難と考えられる.そこで本研究では,自転車の歩道走行を許したままで歩行者の安全を確保するには限界があるとの考えの下,欧米の事例に倣い,物理的な境界ではなく白線などにより車道と分離される自転車レーンの導入可能性を,自転車利用者と自動車利用者の両方の視点から検討した.自転車利用者にはCGを用いたアンケート調査,自動車利用者にはドライビングシミュレータを用いた走行安全性実験を行なった結果,自動車走行特性や選好度の面で,幅員が広くない車道に物理的な境界のない自転車レーンを作ることの有効性が示された.