2006 年 41.3 巻 p. 241-246
本研究は,京都市都心部における京町家まちなみ保全活動を対象に,地域社会の協力意向と個人の協力意向との間に存在する社会的相互作用を明示的に考慮した二項選択モデルの枠組みを用いて,地域住民の協力意向をモデル化するとともに,このモデルによる計量分析を通じて,地域互助による京町家とまちなみの保全可能性について評価した.その結果,京町家まちなみ保全活動に対して,他者の協力率が高いほど,地域住民の協力する選択確率が高くなるという同調効果の存在を明らかにした.このことは,社会的相互作用が京町家まちなみ保全活動の推進力として機能しうるものと考える.また,対象とする19の元学区のうち,16の元学区については潜在的な保全可能性を確保しているものの,梅屋,竹間,醒泉の3つの元学区については確保していないことを明らかにした.