2006 年 41.3 巻 p. 337-342
本研究では、発足から30年が経ち、「転換期」を迎えた中野区住区協議会を研究対象とし、「地域づくりの場」としての運用実態を明らかにした。本研究の目的として、第一に中野区住区協議会の制度としての位置づけを「協議会方式」の変遷から明らかにした。他の「協議会方式」と異なり、中野区では住区協議会をあくまで「協議体」と位置づけていたことが分かった。第二に、現在の住区協議会の参加者の構成から、既存の地域組織との関係を分析した。住区協議会は、既存の地域組織代表と、公募によるメンバーの占める割合によって類型化された。第三に、住区協議会の「地域づくりの場」としての実態を明らかにした。そこから、現在の住区協議会が既存の地域組織と類似した役割を果たすようになったこと、また、住区の枠を超えた地域活動の増加に伴うその「場」としてのあり方の変化が明らかになった。最後に、今後の「地域づくりの場」の運営について、「場」に対する権限委譲の必要性と、新たな形の組織との連携模索の必要性について述べ、今後への提言とした。