2006 年 41.3 巻 p. 583-588
本研究は、小学生を対象とした自転車交通安全教育に関して、独自の手法を提案・実践し、各教材が児童の自転車交通行動の意識・行動変化に及ぼす影響を測定することで、より効果的な教材の可能性を探ることを目的とする。文京区内の小学4年生を対象に、授業の時間をお借りして、写真を用いたワークショップ、市販のビデオを用いた授業、独自に開発したゲームの活用、という3種類の手法を別々のクラスに対して適用した。その結果、自転車の交通ルールに関する意識は、どの手法についても授業終了後には向上し、ビデオを用いたクラスで最も多くの項目で向上が見られたが、一ヵ月後には授業直前の状態に戻る項目が多いことがわかった。ワークショップとビデオを用いたクラスでは、一ヵ月後の行動変化も確認された。また、ワークショップが最も現場が盛り上がり、自由意見でも「気づき」や「今後の展開」についての記述が多く、最も主体的かつ積極的な参加が可能な教材としての効果が認められた。