2006 年 41.3 巻 p. 589-594
本研究では、土地利用上の問題へ対応するために策定された穂高町と松川村の土地利用調整基本計画を主なケーススタディとして、主体的かつ能動的に策定される調整計画の課題とあり方の提示を目的とする。その結果、後追い的対応であった穂高町では、過去に生じた開発に囚われたことで、結果的に農振農用地を広く包含せざるを得ない状況に至った。その反面、松川村では支援策を講じたことで、農振農用地に依存した開発誘導系区域の指定が抑制できたが、計画期間の見直しを余儀なくされるといった課題もある。以上より、開発を誘導する範囲が散漫に指定されないために、先行的な取り組みが必要である上、ゾーニングのための適切な合意形成を図る仕組みも求められる。