抄録
本論文は、地縁性の強い地方都市郊外住宅団地におけるネットワーク居住の実態を明らかにすることを目的としている。福井市郊外においてアンケート調査を実施し、189世帯343人から有効回収を得た。調査項目(分析項目)は(1)別居する子供および親戚の所在地と交流実態、(2)友人との交流実態である。主な結論は次の通りである。(1)交流は多様であるが、長女世帯や妻方親世帯との交流が相対的に多い。(2)交流には地理的要因(距離)が影響している。(3)交流にはライフステージが大きく(強く)影響している。(4)複数世帯と高い頻度の交流をもつ「ネットワーク居住」世帯は約2割である。(5)親戚(子供・親)との交流と友人との交流は相乗関係にある。