管理の粗放化や潰廃の進むため池を、地域の住民も含めた多様な関係者が参画する組織(協議会)によって、その多面的な価値や機能を生かしながら、保全・管理・運営していくことが大きな課題になっている。本稿では、こうした協議会のなかでも、積極的な活動を行っている、加古川市の寺田池協議会を取り上げ、とくに組織と活動内容の2つの面からその特徴を明らかにした。改修工事にともなう利活用計画案の策定にあたって、住民が参加するワークショップである「寺田池の集い」と「専門部会」を開催するとともに、住民などが発表する「寺田池発表会」の開催、先進地視察の実施、寺田池セミナーの開催、広報活動などを行っている。こうした寺田池協議会の特徴として、以下の点が指摘できる。1)地元出身者の寺田池への思い、2)一体となった自治会と水利の取り組み、3)市民グループの存在、4)行政とコンサルタントのサポート、5)関係者との連携・協力、6)協議会の立ち上げまで2年近くの準備期間、7)協議会活動のエンジン部分となる運営委員会の積極的な取り組み