2006 年 41.3 巻 p. 761-766
本研究では胆沢ダム建設プロジェクトを題材に、大規模事業の合意形成の心理構造を明らかにすることを目的とする。胆沢ダム建設を進める行政にヒアリング調査を行った後、胆沢平野に住む一般市民に質問紙調査を行った。その結果、以下の知見を得た。1) 市民の賛否態度は公正理論で説明できること、2) 事業への賛同意向は計画発表当初に比べて有意に向上していた、3) 市民はダム建設で得られる自己利益と社会的有益性を考慮して賛同意向を形成していたことが示唆された、4) 人々は手続き的公正を情報開示によって認知していた、5) 公正体験により、まちづくりに対する市民の関心は向上した。