2006 年 41.3 巻 p. 797-802
地方都市を中心に進む中心市街地の衰退要因は、モータリゼーションの進展、核家族化に伴う住居の郊外化や郊外型商業施設の発展等の他に、公益施設の郊外への移転新築もその一要因であると言われている。そこで本研究は病院立地のあり方を、病院移転と人口分布に着目して評価・検討することを目的とする。具体的には、地域保健医療計画による病院の整備状況、病院移転の実態を踏まえた上で、病院移転時における利用者の利便性を移動費用に着目して評価するものである。本研究を通して以下の2点が明らかとなった。近年の病院移転は過半数が国や地方公共団体立等公的病院によって行われていたこと。病院までの移動費用の観点から見れば、病院移転は必ずしも問題を引き起こしていないこと。なぜなら、多くの住民が郊外へ流失してしまっているからである。