2006 年 41.3 巻 p. 821-826
資源・エネルギー問題および環境問題の観点から、次世代エネルギー技術が今後のサスティナブルな都市づくりの実現にいかに寄与するかを明らかにすると共に、どのように社会導入されるべきかを明らかにすることを目的とした。まず、エネルギー有効利用型都市づくりを実現する制度をレビューし、NEDOや環境省からの補助やエネルギー特区があることが示されたが、政府主導型の技術を除いては次世代技術には今のところ適用し難いことが示された。次に、次世代廃熱エネルギー有効利用技術導入のメリットについて明らかにし、その可能性を東京湾岸地域を対象に試算した結果、特に化学蓄熱・ケミカルヒートポンプを利用したオフラインエネルギー輸送システムの経済性、環境面での優位が示された。今後、次世代エネルギー有効利用システムのような事例に対しては、環境省やNEDOからの補助、導特区制度を利用する等に留まらず、各省庁によって行われる補助制度の中に次世代技術を育てるという概念が組み込まれ一体化して国によって導入促進が図られていくこと、またそのための研究・開発・普及啓発などの体制作りを産官学民一体となり進めていくことが必要であると考えられる。