抄録
本論文では、都市を500m四方のメッシュからなる地区に分解した上で、地区を床面積の特性に基づいて類型化し、各類型について選んだ代表地区について、現地調査等から得られた情報を反映した詳細なエネルギー消費シミュレーションをおこなう手法により、2050年を目標とした民生業務部門の省エネルギー・二酸化炭素排出削減対策の定量的評価をおこなった。本手法をとることにより、従来の建物レベルの対策効果を都市域に積み上げる手法に対し、地域冷暖房システムの導入効果や、都市内の町並みの特性を活かした対策の評価が可能になった。シミュレーション結果より、電源の二酸化炭素排出原単位の変化に大きく左右されるものの、現在の高密度地区のみに高効率な地域冷暖房を整備した場合と、低密度地区の建築ストックを大胆な土地利用転換により高密度地区に集積させた場合のCO2排出削減ポテンシャルを定量的に示すことが出来た。また、集積マネージメントしない場合には、小規模建築の着実な省エネルギー対策の実施が大きな課題になることを示した。