都市計画論文集
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通勤目的交通における交通時間と交通時間節約価値との関係
東京圏都市鉄道経路選択行動データを用いた事例分析
加藤 浩徳
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 41.3 巻 p. 85-90

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抄録

本研究は,通勤目的交通を対象として,交通時間と交通時間節約価値との関係を分析することを目的とするものである.まず,居住地選択行動を考慮に入れた個人の時間配分モデルを定式化した.次に,定式化されたモデルを用いて,理論的に交通時間と交通時間節約価値との関係を分析した.交通時間節約価値には,DeSerpa(1971)の定義を用いた.比較静学分析の結果より,両者の関係は効用関数形に依存し,一般的な関係を導くことが困難であることが判明した.そこで,効用関数を非線形関数として近似した上で,実証的に両者の関係を分析することとした.東京圏の通勤目的の都市鉄道経路選択行動データを用いて,離散選択モデルから分析を行ったところ,ある一定の交通時間以下の場合には,交通時間の増加と共に交通時間節約価値は減少するが,一定以上の場合には,逆に増加することが明らかとなった.

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© 2006 公益社団法人 日本都市計画学会
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