都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
アルベルティ『建築論』と『フェリーペ2世の勅令』における都市計画理念
スペイン・ルネサンス期における都市計画規範の比較
加嶋 章博
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 41.3 巻 p. 899-904

詳細
抄録
本稿はスペインが植民地向けて公布した植民地法(インディアス法)の初期事例である『フェリーペ2世の勅令』に着目するものである。これにはスペイン国家が掲げた都市計画の考え方が示されている。そこに示された都市レイアウトと広場の整備を促す計画概念は、イタリア・ルネサンス期の理想都市論に強い影響を受けたものといえる。フェリーペ2世の勅令についてはこれまでもその都市計画規範について議論がなされてきたが、本稿は、アルベルティの『建築論』に示された都市計画の考え方との比較から見えてくる勅令の特異性を整理することが狙いである。総じて言えば、『建築論』の都市計画の主張は、都市空間の機能的、衛生的な観点とともに、装飾への意識が強いものといえる。しかし都市空間を断片的に規定しており、都市レイアウトの具体的なモデルを導くのは難しい。対する『フェリーペ2世の勅令』は、矩形の中央広場を起点としたグリッド・パターンの秩序的な都市レイアウトの上に様々な規定を当てはめるものであり、常に都市空間構成の視覚的イメージを強く導こうとするものであったことが両者の対比から窺える。
著者関連情報
© 2006 公益社団法人 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top