都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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東京下町における河岸の歴史的変遷に関する研究
鹿内 京子石川 幹子
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 41.3 巻 p. 959-964

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抄録

21世紀を迎え、都市において、オープンスペースと公共空間の創出は地球環境の維持、社会的環境の回復のために、重要な課題である。それに伴い、新しい都市空間として都市を再生するために、川と一体化したオープンスペースを創出し、公共空間を生み出す様々な取り組みが行われている。江戸時代に荷揚げ場として川沿いに設置された「河岸」は、明暦年間にはオープンスペースとして規定され、街と密接に関わりあいながら、時代の近代化に柔軟に対応させながら、今日まで継承されてきた。本研究では東京の下町の河川における「河岸」を対象として土地利用と土地所有の2つの視点から、土地利用ではオープンスペースに、土地所有では公有地に焦点をあてながら、明治維新、市区改正、帝都復興事業、戦災復興事業で5期に分けて、その歴史的変遷を分析する。本研究は、江戸期より400年の文化を継承してきた「河岸」を研究することで、オープンスペースの創出の原理原則を把握し、開発速度の速い現代社会においてオープンスペースを維持する方策を講じるための知見を得、これからの新しい公共空間をもった複合都市の再生に向けた政策提案に導くことが、目的である。

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© 2006 公益社団法人 日本都市計画学会
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