抄録
住宅が「量より質」の時代となって久しい。これまで主流であった「住まいにあわせた暮らし」はもはや過去の価値観であり,現在は各々の価値観に沿った住宅,いわば「暮らしにあわせた住まい方の実現」が模索されている。本論文はヘドニック・アプローチを用いて東京都心部の賃貸集合住宅価格を推計することで,人々が現在の住宅にどのような付加価値要因を求めているのか,その中でデザインや地域ブランドといった質的な要素がどのように評価されているのかを示すことを第一の目的とした。その結果,「優れたデザイン」という質的な付加価値を表す代理変数として「デザイン賞受賞暦」を取り扱うことにより,建築デザインの価値を計測できる可能性を示すことができた。