抄録
本研究では、実際の探索財の選択状況として、学生による賃貸住宅選択状況を対象とし、実際の選択状況に即した選択肢の探索、選択肢集合の形成、選択の実験を行い、探索行動に影響を与える要因はどのようなものか、また、それらが選択肢集合の形成にどのように結びついているのか、を検討した。分散の大小と期待効用の大小に関しては、期待効用が大きい場合、期待効用が小さい場合よりも探索時間、探索選択肢数が多くなった。選択肢集合数については、分散が大きい場合に多くなるという結果となった。探索経験の有無による探索選択肢数、探索時間、選択肢集合数の違いについては、探索経験がある被験者の場合、選択肢集合数が小さくなる傾向にあった。また、探索行動を反映した探索選択肢数推計モデルの適用により、若干ながら探索実験結果をより良くの再現できることが確かめられた。