抄録
本稿では韓国の都市基本計画に与えられている「都市計画の指針としての役割」の変遷について考察を行った。韓国の場合、制度化当時の都市基本計画は象徴的な意味が強く、都市計画と連携できる仕組みを持っていなかった。しかし制度変更を経て、現在は都市計画(現法上の都市管理計画)の上位計画として、その立案と決定に整合性も求められている。また、最近の都市計画体系の改編の結果、都市基本計画には新たな役割も期待されている。すなわち、対象の拡大や新手法の登場によって都市管理計画運用者による判断と選択に方向性を明確に提示することが今後必要であり、その視点からみると都市地域と非都市地域に差別化した指針を提示することも考えられよう。今後より有効に「指針」の役割を果たすためには、都市基本計画に幾つかの要件が求められる。策定過程での十分な住民参加や合意、計画書の論理性、図面・文章の適切な表現などである。今後これらに関する検討を行い、より活発な議論を進めることが、都市基本計画研究の課題であると言えよう。