抄録
河川管理者や流域住民と協働して、継続的な河川管理を行っている愛知県豊橋市のNPO「朝倉川育水フォーラム」を取り上げ、地域型NPOがどのようにして河川管理者や流域住民と連携できたのか、また継続的な流域住民の参加をえることが可能なのかという視点から、その実態と特徴を把握することを本研究の目的とする。明らかとなったのは、1)河川管理者の側には地域の意向を反映した河川整備を進めたいという要求、フォーラムの側には河川環境を改善したいという強い要求があったことが、河川管理者と地域の利害一致をみて、両者の連携を進める条件となったこと、2)フォーラムの役員や行政、地区総代会、企業等の代表者が実行委員会を組織して、団体単位で「530大会」への参加を募ったことは、NPOのミッションに共感する人だけでなく、広くコミュニティ意識、環境意識のある流域住民に対する参加の受け皿にもなりえたこと、3)その結果、流域住民の将来の参加意向につながっていると考えられること、である。