都市計画論文集
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高度地区による規制と緩和規定の適用の効果に関する研究
青木 伊知郎
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2008 年 43.1 巻 p. 16-21

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抄録
建築物の高さを規制することは、日照・眺望の確保や圧迫感の低減、調和のとれた街並み形成など、市街地環境や景観の保全・形成等に一定の効果が見込まれるが、一方、土地利用を制限することによる利用可能容積の減少や建築の自由度の減少など、経済活動への影響も考えられる。したがって、規制の導入や運用に際しては、規制によるプラス・マイナスの両面を考慮し、総合的に見て規制が妥当かどうかを判断することが望まれる。本研究では、近年増加している絶対高さ制限型高度地区による規制の効果と、多くの高度地区に見られる制限緩和規定の適用により中高層マンションが立地した場合の外部効果について、ヘドニック法により費用便益分析を行い、高さ制限の妥当性について知見を得ることを目的とする。本研究による費用便益分析の結果、絶対高さ制限は導入後の年数の経過によりプラスの効果が現れること、制限緩和規定の運用によってマイナスの周辺外部効果が生じ、周辺環境や景観を悪化させる場合があることがわかった。
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© 2008 公益社団法人 日本都市計画学会
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