抄録
北海道砂川市に立地した北工東圧(三井東圧化学北海道工場所)の社宅街を例に、その変容過程を追跡し、人口減少下の都市計画における地域の文化的資源の継承について考察した。その結果、人口の減少過程における社宅街の変容は、居住施設、スポーツ施設、文化ホール、店舗、医療施設それぞれに異なることが確認できた。そして、これらの施設および文化的な活動の幾つかは、自治体の施策を通して先進的で公共的な資源として地域に残されたコミュニティに継承された。社宅街で形成された施設および機能の変容形態は、消滅だけではなく、多様化、継承、再編によって分類できた。