抄録
大阪市東部地域に代表されるような大都市工業集積地域においては、古くから中小工場が集積し、その高度な取引ネットワークにより高付加価値な生産を可能にしている。しかし、近年、こうした工業集積地域において工場の移転廃業が相次ぎ、その工場跡地への戸建て住宅やマンションなどの立地が進展している。こうした無秩序な用途混在の進展により、住宅側から工場に対して苦情が寄せられ、住環境に加え工場の操業環境をも圧迫している。そのため、無秩序な住宅立地による問題を回避する規制・誘導策が必要となる。そこで、本論文では無秩序な住宅立地の実態と、それを抑制する既存施策の運用実態を把握する。そして、無秩序な住宅立地の抑制に向けた土地利用施策を提案することを目的とする。