抄録
近年、人口減少、都市の成熟化、経済社会文化的な変動や環境の制約等に対応できる持続可能な循環型社会への変換が求められている。これによって開発需要を中心とした従来の都市政策から歴史・文化・地域性を継承する都市再生政策が進められている。韓国では、990年代に入ってから本格的な都市再生についての議論がされ始まった。この議論の成果の一つとして、約2年間かけて実施されたソウル市「清渓川復元事業」が完成した。この事業は、都心部における多様な利害関係者との合意形成に基づき、大規模な自然環境の復元による都市再生戦略として世界中からも注目を集めている。本研究では、ソウル市の「清渓川復元事業」を対象に、対立可能性に対する合意形成戦略について「共有資源=計画情報」「活動の相互依存性=推進体制」「目標の両立不可能性=政策決定」の側面から明らかにすることである。