都市計画論文集
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散居集落における市街化過程の実態と土地利用コントロール手法に関する研究
高岡市と砺波市との境界部散居集落を対象として
永井 康之松川 寿也岩本 陽介中出 文平樋口 秀
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2008 年 43.3 巻 p. 325-330

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抄録
本研究では、富山県の砺波平野に位置する砺波市及び高岡市を対象に、土地利用上の問題や制度上の問題を明らかにすることで、今後の散居集落での土地利用コントロール手法の提言を行うことを目的としている。本研究では以下の問題点が明らかとなった。砺波市のように農用地区域での開発が容易に行われる背景には、富山県の農振制度が挙げられる。この制度の特徴は開発地から50m以内に宅地が存在すれば開発の可能性が高まることである。これに加えて、砺波市では散居という集落形態により農地の集団性に対する考え方が緩く、農振除外が起きやすい。その結果、高岡市に隣接する規制の緩い砺波市では開発が頻発し、散発的に行われている。また、散居集落では特有の集落形態や散発的開発により、土地利用が混在し、農地と集落を明確に区分することが困難である。そのため、区域を設定しての土地利用コントロール手法が難しい。以上のことから、本研究では、土地利用制度の運用は実際の土地利用に見合った方針に改善する必要があると指摘した。
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© 2008 公益社団法人 日本都市計画学会
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