抄録
本研究は、都道府県・市町村間の最適な都市計画決定権限の分担について検討することを第一の目的としている。現在(第一次分権改革後)の、都道府県と市町村との都市計画決定権限の分担の状況については、全体像が不明確な状態となっている。そこで、本研究ではまず、現行都市計画法制度上、都道府県と市町村との権限分担がどのようになっているかを明らかにする。都市計画決定の権限は、都市計画の種類により、都道府県が決定するもの、都道府県決定と市町村決定が併存するもの、市町村が決定するものに分けられる。また、1990年代以降、行政改革、地方分権改革の流れの中で、徐々に都道府県から市町村へ都市計画決定権限の移譲が行われてきた。これらをふまえて、本論文の最後に、今後の都道府県・市町村間の都市計画決定の最適分担を考える上での6つの論点を提示した。