2008 年 43.3 巻 p. 373-378
自主基準と委任基準を巧みに連携させ、独自の開発基準を定めた国分寺市まちづくり条例に基づく戸建て宅地開発を対象に、条例による宅地開発誘導の効果と課題を明らかにすることを目的に、条例に基づく開発基準に関わる一連の適合審査・協議プロセスにおける運用実態、及び宅地開発後の実態を分析した。その結果、道路整備に関する基準により、前面道路幅員の拡幅整備や周辺道路等との通り抜け化など、防災上・避難上の安全性、良好な地域環境の確保に寄与していたこと、外壁後退基準や緑化率基準については、遵守されていない事例が見られ、協定が承継されていないこと、建築物の敷地の最低限度の基準が厳しく、条例のがれの要因となっている可能性が高いこと等が明らかとなった。よって、地域特性に応じた実効性ある開発コントロールを推進するためには、独自の開発基準をベースにしつつ、開発協議により、建築物の敷地の最低限度基準の緩和が可能となるようなインセンティブが働く仕組みを用意することが有効であると考えられる。