都市計画論文集
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瀋陽市都市計画における近郊地域の位置づけの歴史的変遷に関する研究
劉 暢姥浦 道生赤崎 弘平
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2008 年 43.3 巻 p. 553-558

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抄録
中国の都市は建築ラッシュにより市街地が拡大し、近郊の緑地である農林地が失われつつある。その一因として、中国における近郊緑地の保全計画及びその担保施策が、歴史的に不十分で、本研究では、東北部の大都市である瀋陽を事例として、満州時代以降に作成された中国の都市計画における、既成市街地及び将来市街化計画地以外で、開発圧力の存する都市近郊地域の位置づけの変遷を明らかにすることを目的とする。研究の結果として近郊地域に関する計画及び規制内容は、時代によって大きく変動し、満州時代には、近郊地域に環状緑地が計画され、開発規制がかけられたが、計画経済期は近郊地域については計画も規制も存在しなかった時期となり、その結果、90年代に入り都市計画区域外にも市街化が進行する結果となった。そこで改革解放後においては、都市と周辺農村との一体的計画の必要性が認識され、近郊地域も再び都市計画の対象区域内に包含されるようになり、その担うべき機能についての計画内容も充実化してきているが実現手法については未整備な状態が続いている点が、問題として挙げられ、それは今後の検証課題として残されている。
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© 2008 公益社団法人 日本都市計画学会
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