都市計画論文集
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水害時における家計の流動性被害評価手法
湧川 勝己小林 潔司大西 正光関川 裕己
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2008 年 43.3 巻 p. 703-708

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抄録
水害で被災した家計は、多額の復旧資金を調達し、物的資産を回復する。しかし家計は、土地・住宅等の不動産資産や家財を購入するために、金融機関に対して負債契約を締結している場合がある。また、土地・家屋を担保物件として、金融機関より現金を借り入れている場合も少なくない。被災後に、家屋や家財を喪失して、負債のみが残る家計もある。このような家計は、金融機関より復旧資金を調達することは容易ではなく、流動性制約に直面する。流動性制約に直面した家計は、物的資産の被害を完全には回復できず、長期間にわたり物的資産損失による生活水準の低下を受け入れざるを得なくなる。本研究では、流動性制約による復旧過程の遅延がもたらす流動性被害を評価する方法論を提案する。その際、平成16年台風23号による豊岡水害の被災家計に対して実施した3時点パネル調査に基づいて、被害家計のミクロな流動性被害の発生状況を実証的に分析するとともに、地域全体におけるマクロな流動性被害を評価する方法論を提案する。
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© 2008 公益社団法人 日本都市計画学会
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