2008 年 43.3 巻 p. 781-786
本論文では、千葉県柏市・柏の葉地区を対象として、そこへの転居を決めている世帯と個人へのアンケート調査から、第一に郊外駅周辺地区への転居に伴う生活交通行動(特に、自宅近所での買物・娯楽・飲食・学習の活動実行傾向、自動車利用傾向)の変更意向を実証的に明らかにしている。第二に、柏の葉地区の詳細なタウン情報を提供することによって、地区内で活動を実行しようという意向を高めることができるかを検討している。その結果、上記の活動を、自動車利用意向の低い自宅近所で主に行おうという意向を持つ人が、転居前の行動実態より増加することを明らかにした。しかし、転居前に活動を遠方で行う際に自動車を多く使っている層については、転居後の自動車利用意向が有意に高く、かつ転居後に活動圏域を拡大させる可能性があることが同時に示唆された。また、こうした層に対して、徒歩・自転車による生活スタイルの提案と併せてタウン情報を提供することにより、いくつかの活動場所を地区内に誘導することができる可能性を示した。