抄録
本研究では、交通サービス水準が低く、運転免許の有無によって生活活動が著しく制約されるため、買い物などの生活活動の発生が低頻度となり、またその生活活動を行う場合はある程度の時間を割り当てざるを得ないという過疎地域の生活行動の特徴に着目して、生活活動の中止・あきらめと、生活活動発生時時間配分に関するメカニズムを明示的に考慮した時間配分モデルを提案する。本研究で提案する手法は、活動から得られる限界効用関数に「ある活動への配分時間を増加させると、総効用が減少から増加に切り替わる形状」を仮定する点に特徴がある。切り替わる活動時間の長さを「活動参加の閾値(活動抵抗)」として定義し、この指標に基づき、過疎地域における活動遂行を制約する要因の把握を試みる。島根県赤来町におけるアクティビティダイアリーデータを用い、提案手法の有効性を実証的に確認する。