抄録
本稿は自動車の保有台数選択・車種(排気量)選択・走行量に人口密度が影響を与えているのか、また他の変数はどの程度の影響を与えているのかをスイスのMikrozensus2000のデータを用いて世帯タイプ別に定量的に分析している。ここでいう人口密度はスイスの最小地方自治体であるコミューン単位で集計されたものを使っている。本稿における特徴は、世帯単位での個票データを用いての分析であること、コミューンという最小地方自治体におけるデータを使用していること、緑の党への投票率を変数として使用していてバイアスを考慮した分析であることなどである。結果は自動車保有台数選択・走行量には人口密度の影響があり、車種選択には人口密度は影響を与えないというものであった。またモデル中人口密度が有意に算出された自動車保有台数選択と走行量の各モデルでは弾力性を求めた。両モデル、両世帯タイプの弾力性を比較すると弾力性の値は単身世帯が非単身世帯より大きく、保有モデルと走行量モデルの比較では走行量モデルのほうが大きな値を示した。