都市計画論文集
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自治体規模の違いによる自家用乗用車のCO2排出量変化の要因分析
米澤 健一松橋 啓介
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2009 年 44.3 巻 p. 109-114

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抄録
地方自治体が自動車のCO2排出量削減策を立案するには、複数年次のデータからトリップ数や走行距離などの地域の交通特性から排出量の変化を把握することが重要であるが、全国の都市以外の地域も含めた分析は十分に行なわれていなかった。そこで本研究では、1999年と2005年の二時点のOD調査より推計した全国の市区町村単位の自家用乗用車CO2排出量データから自治体規模別に排出量変化の要因を分析した。一人あたりCO2排出量は、人口5万人以上の自治体では減少、特別区でとくに減少した一方、それよりも規模の小さい自治体では増加した。排出量減少の要因は、いずれの自治体でも排出係数の低下とトリップあたり走行距離の減少の寄与が大きかった。特別区や政令市では運行率の低下や人口あたり保有台数の減少により自家用乗用車の利用や所有が減少した状況が示唆された。一方、小規模自治体ほど一人あたりトリップ数や人口あたり保有台数が増加しており、日常生活での短距離移動が増加した状況が示唆された。本研究により、近年における都市と地方の排出量変化の違いとその要因が明らかになった。
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© 2009 公益社団法人 日本都市計画学会
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