2009 年 44.3 巻 p. 25-30
開発者・土地所有者と周辺住民との間で、開発に伴う既存樹林地の消失に関して争議が起こることがみられる。このような争議は、樹林地などの緑地空間の持つ外部性に起因し、オープンスペースの価値が市場価値の中で無視されがちなことによる。このような緑地空間の外部性を内部化することが重要であり、本論ではこの問題を解決するために、第一に、現在の法制度における内部化手法を概観し、その実現を阻む要因を探るとともに、第二に緑地空間の価値の公表、公的負担支出の先延べ、土地所有者の保有コストの削減等の改善手法を提案し、土地所有者、開発者、市民の合理的な行動による緑地保全を期待するものである。