都市計画論文集
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都市災害後の住宅再取得意向の非集計行動モデル
想定首都圏大震災を対象としたケーススタディ
佐藤 慶一中林 一樹翠川 三郎
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 44.3 巻 p. 331-336

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抄録

本稿では、想定される首都圏大震災をケーススタディとして、都市災害後の住宅再取得意向を非集計行動分析により把握することに試みた。結果、1)選択肢属性では、住宅コストや立地条件が再取得意向に与える影響の定量化に成功し、立地条件を見ると、総じて、現住地での住宅再取得の意向にあることを確認した。2)世帯属性では、贈与見込みがある世帯は「再建」「新規購入」を好む、同居見込みがある世帯は「その他(親戚宅等)」を好む、などの関係性が相対的に強く確認された。高齢世帯は「新規購入」や「賃貸」を嫌う、高収入世帯は「再建」「新規購入」を好むなどの傾向も確認された。3)仮住まいの場所や震災経過年などの状況設定は、選択肢属性や世帯属性と比べると、再取得意向に与える影響は小さかった。地区ごとにモデルを推定すると、都市災害の住宅再取得意向には地域性があることが伺えた。適合度指標も併せて考えると、都市災害後の住宅再取得意向は、地域ごとに区分してモデリングすることが望ましいとの判断を得た。推定したモデルを用いた試算により、様々な条件設定毎に住宅再取得意向の選択確率が算出可能となったことを確認した。

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© 2009 公益社団法人 日本都市計画学会
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