2009 年 44.3 巻 p. 349-354
中山間地域においては、生産機能が乏しく、多くの財・サービスが地域外で生産される。域内の家計の就業機会や買物機会は、生活圏の中心都市に依存しており、域内の賃金率や財価格が中心都市との裁定により決定される。さらに、家計の消費行動を通じて、域内における小売業立地が決定され、その結果が家計の余暇時間に影響を及ぼす。本研究では、このような特性を有する中山間地の市場構造を記述することを目的とした社会経済会計モデルを定式化する。その上で、地方自治体の政策や上位政府による社会基盤整備が、中山間地の社会経済構造に及ぼす影響を分析する方法論を提案する。最後に、鳥取県日南町を対象とした適用事例を通じて、本研究で提案した社会経済会計モデルの有効性を実証的に検証する。