抄録
参加型の景観計画には、地域の目標像となる象徴的な空間イメージの共有が不可欠である。風景イメージスケッチ手法(LIST)を考案し、その理論的枠組みおよび調査手法の構築を試みた。さらに、実際に日本とドイツの複数の対象地においてケーススタディを行い、地域で共有される風景イメージを抽出した。環境の見方としての風景イメージは物理的空間と抽象的表象を介して、個人的な身体配置と社会的な場所の意味を繋ぐものである。既往のマッピング手法を改良することで、人々が頭に思い描く風景イメージの空間的構造と意味構造とを一枚のシーンスケッチとして抽出し、そこから各自の環境における定位の様子を読み取った。その結果、個人の体験や知識、美的基準に基づき地域ごとに固有の場所の意味や環境の見方が現れ、シーンスケッチの視覚情報を分析する風景イメージスケッチ手法の有効性が示された。