抄録
本研究は、都市近郊地域における農地利用の粗放化、つまり耕作放棄や駐車場・置場等への転用の発生について、20年間・5時期の時系列的変遷とそこから生じる空間パターンを解明することを目的とする。対象地域は神奈川県藤沢市西北部の市街化調整区域およそ737haとし、1/2500スケールで粗放地6種類、農地2種類、都市的土地利用2種類の土地利用図をGISで作成し、土地利用政策、農業政策、空間条件指標との関連を考察した。結果、20年間で全転換面積中の粗放地のシェアが拡大していること、粗放地を経由した都市的土地利用への転換が大きく減少し、粗放地が土地利用転換過程の一時的な利用形態ではなくなっている可能性があること、また、農用地区域、圃場整備などの農業政策は一部を除いて粗放地の発生を十分に抑制しない可能性があることが明らかとなった。