抄録
本研究は、人口10万人を超えたことから1996年10月に線引きを導入し10年以上が経過して、線引き後の課題やその影響を十分に検証できる岐阜県多治見市と、人口規模が同規模でありながら、その北部に隣接する非線引き都市の可児市を対象に、過去の開発動向を詳細に分析し、個々の開発・建築許可の許可基準の適用状況や、既存宅地制度の運用を定量的かつ即地的に分析した。その上で、線引き後の関連施策である、3411条例区域指定への影響を把握した。その結果、線引き後も既存存宅地制度を踏襲する制度により、その後も一定量の開発が生じることを明らかにした。また、地形的特徴と法規制の状況から都市基盤が脆弱な林地開発も含めて、線引き後の滲み出し開発を確認できた。