都市計画論文集
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路上生活者支援と住宅施策におけるハウジング・ファーストの導入に向けて
東京都区内における路上生活者の地域生活移行支援事業を事例として
窪田 亜矢
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2009 年 44.3 巻 p. 715-720

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抄録
東京都は新たな路上生活者支援策として、「地域生活移行支援事業」を2004年より四年間行った。移行事業は、就労支援を主目的とした段階的な支援という従来の方法ではなく、路上から借り上げアパートすなわち地域生活への移行を行うもので、アメリカで広まったハウジング・ファーストの考え方だといえる。これまでの日本の住宅政策の経緯と、近年の急激な社会構造の変化、経済的状況の悪化をふまえれば、日本でもハウジング・ファーストの考え方を導入する必要がある。そのために、1)低家賃住戸賃貸事業における公共性への社会的合意、2)都市計画における安定した住環境の確保、3)当事者支援を専門とする民間組織の支援、4)ホームレスという認識の社会的共有、について議論を深め社会的な認識を共有することが、本格的な導入につながる。
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© 2009 公益社団法人 日本都市計画学会
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