抄録
この研究は、大阪府泉北ニュータウンの公営住宅地区を対象としたものである。公営住宅地区はニュータウンの中で最も人口減少が顕著な地区であり、本研究は、その人口減少要因を公営住宅法改正等にも留意しながら明らかにすること、それに伴う居住者や生活、コミュニティの変化を明らかにし、住宅地再生の課題を抽出すること、を目的にしたものである。研究は、大阪府営住宅管理データの分析、2種類の実態調査(居住世帯調査、団地自治会調査)の分析をもとにしている。その結果、1)公営住宅地区の人口減少は世帯縮小とともに退去世帯に比べ新規入居世帯に小世帯が多いことによる、2)人口減少とともに、新規に入居する世帯は単身世帯が多く、地域や家族とのつながりが長期居住世帯に比べ少ないこと等が明らかになり、従来のコミュニティの力は低下している。このようなことから、公営住宅地の再生に際しては、安定したコミュニティの形成・維持をめざした取組を伴う必要があることが明らかになった。