時空間クリギングとプローブタクシーデータを利用した都市内の自動車旅行時間推定

抄録

本研究は自動車の旅行時間を普遍クリギングによって推定する方法を提案した三浦(2008)を基礎として、トリップの出発時刻データを利用した時空間クリギングを提案する。同じ2地点間であっても時間帯別に旅行時間が異なることを考慮し、時空間クリギングを用いて精度の高い旅行時間推定を目指す。さらに、推定に使う観測データの範囲と数について検討し、トレードオフの関係にある計算時間と推定精度を考慮した適切な観測データ数について述べる。データとして、名古屋地区を走行した約1500台のプローブタクシーから2002-2003年に取得したプローブデータを使用する。このデータはトヨタ自動車、日本電気、デンソーによる「インターネットITSプロジェクト」で得られた実験データの一部である。提案した推定方法によって従来の手法と比べて少ない観測データ数で高い推定精度を得ることができた。さらに1ヶ月分の観測データを使用することによって95％信頼区間が5分以内となる確率を37％まで高めることができた。また提案した手法は広く一般に利用されている経路探索サービスよりも優れた推定値を与えることを確認することができた。