全国各地で絶対高さ制限の導入が進んでいる。しかし、その内容は様々で一度導入しても不都合が生じ制限内容を見直す自治体も出ている。本研究は適切な制度設計に向け、制限導入前後の建築形態の変化を分析、留意点を明らかにすることを目的とする。具体には、東京都心・新宿区を取り上げ建築確認申請図書の内、建築計画概要書を活用し、制限区域内外、制限高さ別、建物用途別などに分類し、高さ制限の影響・効果を検証、建て詰まりや土地の高度利用が阻害されていないかなど、副作用についても考察を加えた。新宿区の場合は、副作用少なく目的を達成していると評価されるが、留意点として(1)制限高さに対する建物高さの比が高まると建て詰まり傾向を示すこと、(2)敷地規模に応じ建築形態の変化に差異があり大規模なものは建て詰まり傾向を示すこと、(3)高さを制限すると共同住宅が減り共同住宅複合施設(店舗、事務所の併設)の割合が高まることなどを明らかにした。