抄録
本稿では、京都府亀岡市における住民参加型の安全安心マップ作成のワークショップを事例に、ワークショップへの参加行動の背景を検討することを目的とする。本研究では、(1)地域住民があらかじめイベント情報を認知していたか否か、(2)イベント情報を認知していた住民がワークショップへ参加したか否か、に関する2つのロジスティック回帰分析を行った。分析の結果、ワークショップ実施に関する情報は全自治会加入世帯に提供されているが、近隣住民との日常的な社会関係が欠如している住民は、ワークショップ実施に関する情報を認知していない傾向が見られた。また、ワークショップ実施の情報を認知している住民は、近隣住民との日常的な接触と同時に自然災害に対するリスク認知によって、ワークショップ参加を促されていることが示唆された。本研究の結果からは、地域社会の安全を向上させる住民参加型のワークショップを計画する際には、地域住民の社会関係や地域住民の持つリスク認知を考慮すべきであると考えられる。